『宿澤広朗~勝つことのみが善である~』
ラグビー日本代表監督として国内外で活躍しながら、住友銀行取締役執行役員にまで登りつめ、55歳という短い人生を駆け抜けた男。
宿澤広朗。
ただ勝てばよいのではない。あらゆることをやりつくした上での勝利なのか? 「勝つことのみが善」を座右の銘とし、その過程を重要視した生き方を実践した男の半生を描いた力作。
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空前のラグビーブームだった90年代、当時学生だった頃、早稲田対明治の学生選手権決勝をTVでみたのを思い出す。たしか、明治の吉田義人や早稲田の今泉がいたなあ。ラグビージャージを普段着で着ることがファッションだった時代。神戸製鋼の平尾が活躍していた黄金時代。宿澤さんがラグビー解説でNHKに時折でていたこと、ある日の朝刊で宿澤さんの死亡記事がでていたことも記憶に残っている。イラク戦争で日本人外交官が銃弾に倒れたこと、その人が奥という姓だったこと、報道写真では眼がねをかけていたこと・・記憶の点が、この本を読んで、線になった。また、その外交官が日本屈指のラガーマンで宿澤さんのラグビー時代の教え子だったこと、日本郵政公社の現総裁が銀行時代の宿澤さんのボスだったことは初めて知った。
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この本にも書いてあったが、人生の密度と時間の積を考えたらこの人は何人分の人生を送ってきたのだろう。もっと生きていて欲しかったと、この本を読んで心の底からそう思った。
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相反する二つの世界のトップにたった宿澤広朗。二次的な情報より生きた人間から得られる情報”ヒューミット”を重要視し、その人柄と人懐こさで得た情報を強運に換え出世した金融ビジネスでの宿澤と、ラグビー界の宿澤を見事に描き出したこの本はスポーツライター賞を受賞。
手元に置いてまた読んでみたい一冊だ。
文春文庫638円+税
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